被爆80周年記念事業
「平和のための
ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
~もうひとつの広島~

旧日本銀行広島支店 外観写真

80年前の広島
奇跡がうまれた場で
平和のための対話(ダイアローグ)

本年2025年、広島は被爆から80年という節目の年を迎えます。
世界各地で分断や対立が深まる今、異なる立場や価値観の人同士が、いかに対話を続け、信頼を築けるかは、ますます重要な課題となっています。

このたび、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティは、広島市・中國新聞社との共催で、被爆80周年記念事業として「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」~もうひとつの広島~を開催します。

こどもたちが逃げるために走るのではなく、
喜びの中で走れますように。
こどもたちのその幸せを、
おとなたちが奪うことをしませんように。

母が終戦の日の記憶を語ったことがありました。小学生だった母は学校に登校すると、背丈ほどある大きな籠を背負い、来る日も来る日も軍馬のエサとなる草を集めたそうです。勉強の時間はほぼなし。ランドセルの代わりに籠を背負い、冬になれば血眼になって草を探さなければなりません。籠いっぱいに草を入れなければ、憲兵から思い切り殴られてしまうのです。8月15日も同じように、母は山で懸命に草を集めていました。すると血相を変えた大人たちがやってきて、「もう草は集めなくていい。日本は戦争に負けたんだ」と泣き叫びました。

母は、子どもながらに悔しい気持ちを持ちながら、「もう逃げなくていいんだ」と思うと全身の力が抜けてしばらく立ち上がれませんでした。「ねぇ、戦争と聞くと戦う場面を思い描くでしょう?でも多くの人は空の下で逃げ惑うの。朝も、昼も、夜も、空の上から落ちてくる恐怖に怯えながら逃げるのよ」母は声を絞るように、私にそう伝えるのでした。

戦争は戦うことよりも、走ること。大人も子どもも、空の下をただただ走る。逃げるために。生き残るために。子どもは空を仰ぎ、笑いながら走る存在ではなかったのでしょうか。私も、私の子どもたちも、そして私の孫たちもただただ空の下を走っていました。笑いながら、歌いながら。近所の子どもたちも。旅先で出会う子どもたちも。ただただ、口を大きく開け、楽しそうに空の下を走っていてほしい。平和の象徴のようなその姿が、当たり前であってほしい。

だから過去を知り、そして今を知り、未来を語りましょう。安心の空の下の、暗闇の中で。戦後80年が90年、100年といつまでも続くように。そのための対話をしましょう。戦争の対義語は単なる平和ではなく、対等な対話を続ける努力をすることなのだから。

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 代表理事
バースセラピスト

志村季世恵

なぜ広島で『平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク』を行うのか

「戦争の反対語は、単に平和ではなく、対等な対話を続ける努力をしていくことだ。」

これは、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」創設者アンドレアス・ハイネッケ博士の言葉です。世界が分断と対立を深める今、違いを認め合い、理解しようとする努力が求められています。

私たちは、広島で「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を開催し、戦争の記憶を受け継ぎ、対話を通じて平和を考える場を作ろうとしています。
私たちは、日本で25年間ダイアログ・イン・ザ・ダークを続ける中で、真っ暗闇の中で対等な関係が生まれ、本質的な対話が可能になる瞬間を何度も目の当たりにしてきました。この体験が、戦争や分断を超えるための第一歩につながるのではないかと感じています。

もう一つ、大切にしたいメッセージがあります。

「人はどんなときも信じうる存在である。」

広島で起きた「日銀の奇跡」は、戦争の混乱の中でも、人々が互いを信じ、誠実さを示した象徴的な出来事です。原爆投下後、通帳も印鑑も失った市民たちが、自らの残高を申告し、銀行はそれを信じて払い出しました。結果として、申告された金額と実際の残高はほぼ一致していました。そして、この「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」を開催する場所は、まさに「日銀の奇跡」が生まれた旧日本銀行広島支店です。人々が「信じること」を選んだこの場所で、私たちもまた、対話を通じて信頼を育む場をともに創りたいと考えています。

日本銀行 広島支店 原爆投下後の外観写真
出典:原爆投下と日本銀行|日本銀行 広島支店

開催概要

会期
2025年8月2日(土)~11日(月・祝) 10日間
会場
旧日本銀行広島支店(広島県広島市中区袋町5-21)
アクセス
旧日本銀行広島支店 常時開館のおしらせ(広島市公式ウェブサイト)
【GoogleMap】旧日本銀行 広島支店
体験者数
約640名
体験料金
無料
ご予約方法
専用のWEBページより、事前お申込み

ご体験には事前予約が必要です。ご予約は、2025年7月上旬に開始予定です。

主催
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
共催
広島市、中國新聞社
後援
広島県、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島 他
協賛
中外製薬株式会社、フマキラー株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ、清水建設株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社増岡組、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社LIFESYNC、三島食品株式会社、ウエストホールディングス 他

東京での開催概要

多くの方にこの体験を届けるため、東京での同時開催も予定しています。

会期
2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)
会場
ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®️」(東京・竹芝)
体験者人数
約3,000名
体験料金(税込)
大人:3,850円
中高生・大学・専門学生・大学院生:2,750円
小学生:1,650円

応援メッセージ

開催にあたって皆さまから頂いた応援のメッセージを、随時ご紹介していきます。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは

視覚障害者の案内のもと、完全な暗闇の中で視覚以外の感覚を使い様々な体験を楽しむソーシャルエンターテインメントです。声に耳を傾けながら助け合い、視覚に頼らない関わりを通じて、他者との信頼やつながりを楽しみながら再発見していきます。
暗闇だからこそ、人と人が対等につながり、立場や偏見を越えた本質的な対話が生まれるプログラムであり、日本では1999年の初開催以降30万人以上が、世界では47カ国で900万人以上が体験し、教育・企業・福祉など多様な分野で活用されてきました。

体験者からは、
「近くの人への信頼が増していくのがわかりました。見える世界でも、そんな助け合いができるといい」(40代・女性)
「しょうがいがある人も、ない人も、しゃべったりきいたりするとなかよくなれる」(小学生)
などの声が寄せられています。
特に子ども向けのプログラムでは、自己肯定感の向上、多様性への肯定的な意識の変化など、教育的な効果も確認されており、2023年には広島県教育委員会の指導主事研修でも採用いただきました。

今回は広島県内では初となる一般向け開催であり、「平和」というテーマに正面から向き合うオリジナルプログラムです。
世代や立場を越えた対話の場を通じて、「平和と信じること」について考え次世代へとつないでいくことを目的とし、「広島市被爆80周年記念事業」の80プロジェクトのうちの一つとして開催いたします。

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共催

協賛