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【緊急アンケート結果】COVID-19感染拡大防止に伴う 視覚障害者・聴覚障害者が抱える困難に関する緊急アンケート

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティでは、この度、在宅長期化に伴う視覚障害者・聴覚障害者が抱える困難に関する実態調査を行いました。
その現状は以下サマリーの通りで、彼らの困難・不便は解決すべき問題ですが、一方でそこには必ずイノベーションの種が眠っており、彼らの工夫や知恵こそが、これからの社会課題解決へのヒントとなります。

このアンケートおよびをきっかけにさらなる対話が生まれることを願っております。 また、ダイアローグ・ジャパン・ソサエティではこの課題を受けて、解決の方法を当事者と対話しながら模索していきます。


【調査内容】在宅長期化に伴う視覚障害者・聴覚障害者が抱える困難に関する実態を把握。特に、生活面・情報取得の面や、コミュニケーションに関する事項を調査。
【調査日】2020年4月23日(木)~ 4月26日(日)
【調査対象】視覚障害者・聴覚障害者
【人数】 総回答数:165名
※内訳 視覚障害者:71名、聴覚障害者(ろう者、中途失聴・難聴者):80名、重複障害者:7名、その他:7名
【調査手法】WEBアンケート

※全データはこちらよりダウンロードください アンケート結果全データ

 


【概要】
◆仕事、学習環境の変化: 全体の約65%が「現在の仕事・学習環境に不便がある」と回答。さらに約54%が「経済的状況や雇用面、学習状況に不安がある」、視覚障害者は全体の約63%が「不安がある」と回答
≪理由≫「会社にもしものことがあったら真っ先に障害のある自分が切られるんじゃないか」(視覚障害者)、「自担当のオンラインミーティングは音声しか使用せず、皆と同じタイミングで参加できない(終了後、議事録を確認する形)」(聴覚障害者)、「授業を担当される先生と直接話すことが難しいため、私の障害のことや必要な配慮について、きちんと伝えられるかも心配」(視覚障害者)など。

◆生活環境の変化: 全体の約60%以上が「生活や外出面に不便がある」と回答。
≪理由(視覚障害者)≫ ガイドヘルパーや店員・周囲へのサポートの依頼や声かけを遠慮してしまう、感覚(ソーシャルディスタンス)が確認できないことへの不安。日ごろから触れて確認することが多いことによる感染対策の難しさや、免許を持たないことから通院などの移動手段の限界。マスクをすることによる感覚の鈍化など。
≪理由(聴覚障害者)≫ マスク着用により口型や表情が読み取りづらくなりコミュニケーションが難しくなる、筆記用具の受け渡しから筆談を遠慮する、街頭や店内アナウンスなどが音声情報優位になっていることなど

◆情報取得の変化:
全体の約41%が「情報取得について不便がある」と回答。聴覚障害者では半数が不便と感じている
≪理由(視覚障害者)≫ 画像データがテレビ上では説明されないことや、WEBにおける音声読み上げの未対応
≪理由(聴覚障害者)≫ 会見の際に手話通訳や字幕が少ないこと、電話対応のみの緊急窓口が多いことなど

◆コミュニケーションの変化: 全体の約56%が「人との人とのコミュニケーションにおいて、不安や心配を感じる」と回答
≪理由(視覚障害者)≫ オンラインで複数人で話す場合、声の方向などが頼りにできず誰が話しているかがわかりにくい、声かけの減少により町の様子がわからなくり、収束後に声をかけてくれる人が増えるかなど。
≪理由(聴覚障害者)≫ マスクでの会話で情報が制限されてしまうこと、オンラインの際は字幕機能が不十分であることが多い、周囲の理解が得られにくいなど

◆人の温かさの実感: 全体の約58%が「人のつながりや人のあたたかさを感じた」と回答
≪エピソード≫
・ 「三密が言われ出してからも、駅ホームなどで声をかけてくれ、誘導してくれる人がいる。」(視覚)
・ 「ドラッグストアーで買い物サポートをお願いした時、いつも通り一緒に腕を持たせてくれて歩いてくださった。」(視覚)
・ 「店舗でも私がきこえないと気付いてくださった方は一生懸命ジェスチャーで伝えようとしてくださったことがうれしかったです。」(聴覚)
・ 「病院の看護士さんが、この状況でもマスクを外して対応してくれた。聞こえない不便さをよく理解してくれていたこと。」(聴覚)
・ 「オンラインの時、UDトークを使ってもらえるように配慮をお願いしてるが全員がそのようにしてくれること」(聴覚)

◆障害への受け止め: 全体の約46%が「自分の持つ文化を大切にしたい、誇りだ」と回答とくに、聴覚障害者の67%が自分の文化や言語、障害に肯定的
≪理由(視覚障害者)≫
・ コロナは見えない敵です。生まれた時から見えない私にとって、見えない敵を想像するのはそんなに難しくない。
・ 元々目に見えない世界の中にいますから、目に見えないウイルスを恐れることはないです。今は健常者も障害者です。
・ 視覚障害の人とZoomをしていると、みんな「何の音?」という話題で盛り上がるのが楽しい。いろんな感覚を刺激していたいと思えていることがうれしい。
≪理由(聴覚障害者)≫ ・ フィジカルディスタンスを保ちながら会話ができる(大声を出す必要がない)
・ 手話は唾が飛ばないので…
・ アイコンタクトがうまく取れる
・ コの字型になっているマンション廊下のあっちここっちで、手話で会話ができたとき
・ 表情やボディランゲージには声や音以外に乗せることが出来る気持ちがあると信じています。

◆いただいたコメント:
・ 当事者からの声をテレビでも取り上げていただけるようになってきたことを感じました。当事者の声を今後も継続的に伝えていけるような機会があるとうれしいですし、COVID-19が落ち着いても社会的に弱者と呼ばれる人が元通りの環境になってしまわないような工夫をしていけたらと思います。
・ 聴覚障害の方とビデオ通話などする場合は口をはっきりと動かすことや視覚障害の方と話す時はしっかりと言葉を話すなど、オンラインでしかコミュニケーションが取れないこんな時だからこそ相手のことを考えられるいい機会になると思う。
・ この気持ちを終息後も持ち続けることが、優しい世界作りにつながると思います。今まで以上にいい関係、素敵なコミュニケーションが生まれてほしい。
・ これまで取り残された苦しみ、孤独で寂しかったという苦い経験を今活かされているのではないかと思う。
・ ウィルスに感染してしまった人や、クラスターとなってしまった場所を恐れるがあまりに差別するようなことが横行している。恐れを向けるのはウィルスであって人や場所に恐れを向けてはならないこれは障害者や障害者施設が様々な差別にさらされてきたことに共通する。障害を恐れの対象として捉えてきたことがその原因である。障害を正しく知ることから差別がなくなっていくことと同様にウィルスや感染症について正しく理解し正しい感染予防を冷静に行うことが何よりも大切であると思う。

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